日本初の量産乗用車
三菱オートギャラリーに足を踏み入れ、順路の左手ですぐ出迎えてくれるのがこの三菱A型です。1917年から1921年までの間、試作を含めて30台が生産され、そのうち実際にお客様がついて販売されたのは12台となっています。今の時代の「量産」という言葉にはそぐわないと思えるかもしれませんが、車といえば輸入車が当たり前だった当時の状況を考えると、日本メーカーとしての立派な量産と言えるでしょう。
三菱造船が作っていたという時代感
「三菱自動車」という会社が生まれるのは1970年のことですから、この三菱A型はそれより半世紀も前の産物となります。日本国内の自動車保有台数は1915年当時で1,244台しかなく、しかもそのほとんどが輸入車だった時代に、陸軍からの要請で三菱がグループとして量産乗用車の製作に取り組んだ時代感が、このA型から感じられると思います。
オートギャラリーによる展示解説
三菱オートギャラリーによる三菱A型の展示解説は次の通りとなります。参考にした先進国ヨーロッパ車というのはフィアット3型(ティーポ3)となります。
『我国初の量産乗用車として1917年に製作。当時の先進国ヨーロッパ車を参考に、三菱造船(株)神戸造船所で1921年迄に試作を含め30台製作。
(展示車は当時の資料をもとに1972年復元。)』