はじめに
MGのTFです。売上げが落ちていたTDの後継として1953年にデビューし、3年間製造されました。シャシーやサスペンション、ブレーキにステアリング、トランスミッションは全てTDと同じだったものの、デザインでは今後に繋がる重要な変化が見られました。デビュー当初は1250ccだった排気量も、1954年半ばのマイナーチェンジに伴うボアアップで1466ccへと拡大されました。さらに圧縮比も高められ、馬力は57.5馬力から63馬力に上昇しています。
デザインの進化
TDと比べるとヘッドライトがフェンダーに組み込まれて一体化し、これまで直立だったフロントグリルに傾斜がつくなど、この後のMGAに見られるデザインの大きな飛躍も、このTFでその端緒を見て取ることができます。ジーライオン・ミュージアムではMGが数台集まっての展示となっているので、周囲のMGと比べるとフロントグリルの傾斜がよくわかります。
実は、MGのデザインは変わり映えしなさ過ぎるのではないかと言われ、”1930’s-style”とも言われ、MG内で危機感を持つ人もいました。このTFでの変化には、そうした危機感も反映されていたのでしょう。
しかし、TFの後継であるMGAは「そこまで変わってしまうのか!」というくらいに大きく変わったので、どこからどう見てもMGである戦後最後のMG車として、このMG TFにとりわけ愛着を持つファンが多いことも事実です。
ミゼットとしては大きめ
「ミゼット」を名乗っていますからMG流の定義でこのTFも「小型のスポーツカー」となります。ただ、すぐ近くに初めてミゼットを名乗ったMタイプがあるので比較しやすいかと思いますが、Mタイプ(全長3162mm)と比べると、このMG TFは大きく感じられます。実際このTFの全長は3734mmありますので、Mタイプ登場前に大型扱いされていた14/40の3810mmと大差ありません。
MG Tタイプミゼットの中古車をお探しの方へ
こちらのジーライオン・ミュージアムでは展示車両の一部がそのまま販売車両となっていることがあります。どの車両が展示用でどの車両が販売にまわるかはそのときどきの事情によって流動的なようですので、このTFミゼットに限らず何か展示車両に強く関心をお持ちの1台がある場合には、一度スタッフに問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。