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2016
15
Sep
【トヨタ博物館のベンツ・パテントモトールヴァーゲン】

はじめに

 トヨタ博物館本館のエントランスゲートを通り、エスカレーターをのぼった2階でまず出迎えてくれるのが、このベンツ・パテントモトールヴァーゲンです。2階のフロア入口が指定席となっているようです。

 私がパテントモトールヴァーゲンを初めて目にした際、ウッドパネルが描くなだらかなカーブに肌触りの良いベンチを想像しましたが、すぐにその上のシートに気づき、ウッドデッキ部分が土足の足置き場という現実に妙にもったいない印象を抱いたことが思い出されます。

 シート下にはバネクッションがあり、後輪軸上にも板バネが確認できますが、この当時はまだ空気入りタイヤが実用化されていなかかったので、現在の基準で考えるなら乗り心地は決して快適とは言えなかったでしょう。

 しかし、当時は蒸気自動車に先を越されていたとはいえ、大型バスが中心の蒸気自動車が個人の移動手段たる自家用車ではなかった時代です。そんな時代に乗るパテントモトールヴァーゲンは、きっと未来あふれる乗り心地だったに違いありません。

 また、一般的にベンツのパテントモトールヴァーゲンは世界初のガソリン自動車とされていますが、オーストリア人のジークフリート・マルクスが作った「第1マルクスカー」が世界初のガソリン自動車であるとするなど、厳密には諸説あります。

 実際、下記の各種車両説明にもある通り、トヨタ博物館も正確を期しているためにこのパテントモトールヴァーゲンこそがガソリン自動車の第1号であるとは断定していません。ただ、このパテントモトールヴァーゲンが自動車史の中で非常に重大かつ極めてエポックメイキングな存在であったことを疑いようがありません。

試乗インプレッション by スタッフ

 博物館のスタッフの方は非公式にこのパテントモトールヴァーゲンに乗ったことがあるそうで、その印象をうかがったところ、「意外と速度感があってロールもするので楽しかったです」とのことでした。

 パテントモトールヴァーゲンの最高速は時速15kmなので、今の基準で考えれば決して速い部類ではありません。しかも、アイポイントが高めですから、本来であれば速度感はさほどでもないはずです。

 しかし、ボディはフルオープンなうえに、シャシーからはこのうえないインフォメーションが伝わってくるでしょうから、全てを身体で感じ取ることができるがゆえの速度感なのでしょう。

 トヨタ博物館では、パテントモトールヴァーゲンのエンジン始動体験はおこなっていますが、試乗会まではやっていません。いつか試乗できる機会があればと考えていますが、さていつになることでしょうか。

博物館による車両説明

 トヨタによる公式の車両説明は次の三通りとなります。

 『実用的なガソリン自動車の第1号で、1886年に特許を取得しました。4輪車にしなかったのは舵取り装置がどうしてもうまくいかなかったからだと言われています。エンジンは座席の後ろに寝かせておかれており、時速15kmで走ることができました。エンジンは、後ろの大きなはずみぐるまを手で回してかけます。ベンツのよき理解者であった妻のベルタはある日、夫がまだ寝ている間に子どもを連れて夫が作ったクルマで長距離運転に出ました。そして約180kmの距離をなんとか走りきり、この三輪車が実際に役に立つことをアピールしました。現存するベンツの三輪車はミュンヘンのドイツ博物館に展示されています。展示車は当時のものに忠実につくられた復元車で走行可能です』(トヨタ博物館)

 『1886年、同じく自動車の父と呼ばれるダイムラーがいたシュトゥットガルトから僅か150kmしか離れていないマンハイムで、もう一人の開祖カール・ベンツが製作した三輪のガソリン自動車。例えばフランスなどには異説を唱える勢力も存在するが、現時点ではこの車が世界初のガソリン自動車といわれている。三輪自転車をヒントにしたといわれる鋼管フレームの後端、リアアクスルの上に、ベンツ独自の開発によって小型化に成功した4サイクル水冷単気筒エンジンを搭載した。スパークプラグや史上初のデファレンシャルギアを備え、専用シャシーが用意されるなど、自動車としてはこの直後に現われるダイムラー製四輪車よりも遥かに洗練されていた。依然として商業ベースに乗ったわけではないが、少数が製作・販売されたとの記録がある』(トヨタ博物館)

 『ガソリン自動車の第1号は、各国でさまざまな説があるが、ベンツが1886年につくった3輪車といわれている。小型で軽量なエンジンを開発していたカール・ベンツは、これを馬車に代わる新しい乗り物に用いることを考えたが、操舵性に問題があったため、はじめ3輪車を設計、ティラー(棒ハンドル)で前輪を操向する方法でこれを解決した。リアアクスルの上におかれたエンジンは水平単気筒、時速15kmの走行が可能で、デフを備えていた』(GAZOO)

パテントモトールヴァーゲンの中古車をお探しの方へ

 パテントモトールヴァーゲンはトヨタ博物館ですらレプリカですし、そもそもオリジナルの個体など名だたる中古車オークションでもお目にかかれないと思います。

 その一方で、構造がシンプルなこともあってレプリカはどれもよく出来ているようで、海外のオープン市場でも常に何台かは売り出されています。

 国内のカーセンサーやグーネットで売り出されているのを見たことはありませんが、ジーライオンミュージアムのように所蔵車両と同等と思しき車両を大量に販売しているところもありますので、一度問い合わせてみるのも一手かもしれません。


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15
Sep

【トヨタ博物館のベンツ・パテントモトールヴァーゲン】

はじめに

 トヨタ博物館本館のエントランスゲートを通り、エスカレーターをのぼった2階でまず出迎えてくれるのが、このベンツ・パテントモトールヴァーゲンです。2階のフロア入口が指定席となっているようです。

 私がパテントモトールヴァーゲンを初めて目にした際、ウッドパネルが描くなだらかなカーブに肌触りの良いベンチを想像しましたが、すぐにその上のシートに気づき、ウッドデッキ部分が土足の足置き場という現実に妙にもったいない印象を抱いたことが思い出されます。

 シート下にはバネクッションがあり、後輪軸上にも板バネが確認できますが、この当時はまだ空気入りタイヤが実用化されていなかかったので、現在の基準で考えるなら乗り心地は決して快適とは言えなかったでしょう。

 しかし、当時は蒸気自動車に先を越されていたとはいえ、大型バスが中心の蒸気自動車が個人の移動手段たる自家用車ではなかった時代です。そんな時代に乗るパテントモトールヴァーゲンは、きっと未来あふれる乗り心地だったに違いありません。

 また、一般的にベンツのパテントモトールヴァーゲンは世界初のガソリン自動車とされていますが、オーストリア人のジークフリート・マルクスが作った「第1マルクスカー」が世界初のガソリン自動車であるとするなど、厳密には諸説あります。

 実際、下記の各種車両説明にもある通り、トヨタ博物館も正確を期しているためにこのパテントモトールヴァーゲンこそがガソリン自動車の第1号であるとは断定していません。ただ、このパテントモトールヴァーゲンが自動車史の中で非常に重大かつ極めてエポックメイキングな存在であったことを疑いようがありません。

試乗インプレッション by スタッフ

 博物館のスタッフの方は非公式にこのパテントモトールヴァーゲンに乗ったことがあるそうで、その印象をうかがったところ、「意外と速度感があってロールもするので楽しかったです」とのことでした。

 パテントモトールヴァーゲンの最高速は時速15kmなので、今の基準で考えれば決して速い部類ではありません。しかも、アイポイントが高めですから、本来であれば速度感はさほどでもないはずです。

 しかし、ボディはフルオープンなうえに、シャシーからはこのうえないインフォメーションが伝わってくるでしょうから、全てを身体で感じ取ることができるがゆえの速度感なのでしょう。

 トヨタ博物館では、パテントモトールヴァーゲンのエンジン始動体験はおこなっていますが、試乗会まではやっていません。いつか試乗できる機会があればと考えていますが、さていつになることでしょうか。

博物館による車両説明

 トヨタによる公式の車両説明は次の三通りとなります。

 『実用的なガソリン自動車の第1号で、1886年に特許を取得しました。4輪車にしなかったのは舵取り装置がどうしてもうまくいかなかったからだと言われています。エンジンは座席の後ろに寝かせておかれており、時速15kmで走ることができました。エンジンは、後ろの大きなはずみぐるまを手で回してかけます。ベンツのよき理解者であった妻のベルタはある日、夫がまだ寝ている間に子どもを連れて夫が作ったクルマで長距離運転に出ました。そして約180kmの距離をなんとか走りきり、この三輪車が実際に役に立つことをアピールしました。現存するベンツの三輪車はミュンヘンのドイツ博物館に展示されています。展示車は当時のものに忠実につくられた復元車で走行可能です』(トヨタ博物館)

 『1886年、同じく自動車の父と呼ばれるダイムラーがいたシュトゥットガルトから僅か150kmしか離れていないマンハイムで、もう一人の開祖カール・ベンツが製作した三輪のガソリン自動車。例えばフランスなどには異説を唱える勢力も存在するが、現時点ではこの車が世界初のガソリン自動車といわれている。三輪自転車をヒントにしたといわれる鋼管フレームの後端、リアアクスルの上に、ベンツ独自の開発によって小型化に成功した4サイクル水冷単気筒エンジンを搭載した。スパークプラグや史上初のデファレンシャルギアを備え、専用シャシーが用意されるなど、自動車としてはこの直後に現われるダイムラー製四輪車よりも遥かに洗練されていた。依然として商業ベースに乗ったわけではないが、少数が製作・販売されたとの記録がある』(トヨタ博物館)

 『ガソリン自動車の第1号は、各国でさまざまな説があるが、ベンツが1886年につくった3輪車といわれている。小型で軽量なエンジンを開発していたカール・ベンツは、これを馬車に代わる新しい乗り物に用いることを考えたが、操舵性に問題があったため、はじめ3輪車を設計、ティラー(棒ハンドル)で前輪を操向する方法でこれを解決した。リアアクスルの上におかれたエンジンは水平単気筒、時速15kmの走行が可能で、デフを備えていた』(GAZOO)

パテントモトールヴァーゲンの中古車をお探しの方へ

 パテントモトールヴァーゲンはトヨタ博物館ですらレプリカですし、そもそもオリジナルの個体など名だたる中古車オークションでもお目にかかれないと思います。

 その一方で、構造がシンプルなこともあってレプリカはどれもよく出来ているようで、海外のオープン市場でも常に何台かは売り出されています。

 国内のカーセンサーやグーネットで売り出されているのを見たことはありませんが、ジーライオンミュージアムのように所蔵車両と同等と思しき車両を大量に販売しているところもありますので、一度問い合わせてみるのも一手かもしれません。


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