はじめに
ツカハラミュージアムに展示されていたダラックです。私がこれまで足を運んだ自動車博物館で、ダラックが展示されていたのはこのツカハラミュージアムだけでした。私がダラックという名前を初めて知ったのは、オペルの第2号車としてです。オペルの4輪第1号車がパテントモトールワーゲン、次がダラック、そしてモトールワーゲン・リムジーネ、そしてドッペルフェートンと続きます。
オペルが製造したダラックはこのツカハラミュージアムの同じ1号館に展示されてあるルノー35CVと同じ「象の鼻」型ボンネットをしており、そのルノー35CVの説明にある通り、なるほど「他社もまねてルノー車のコピーが製作されるようになった」との言葉通りです。もっとも、これはオペルダラックのダラック側が率先してコピーしたというわけではなく、おそらくはオペル側の意向でコピーしたのでしょう。何しろ、オペルの第1号車であるオペル・パテントモトールワーゲンがすでに「象の鼻」でしたから。
一方、イタリアに目を向けると、イタリアのダラック(Societa Anonima Italiana Darracq)はのちにアルファロメオへと生まれ変わっているので、意外と各社の歴史に食い込んでいる、そんなダラックです。
博物館による車両説明
ツカハラミュージアムによる車両説明はおおよそ次の通りとなります。
『フランスやイギリスを中心に人気を博した名車ダラックです。自転車販売で成功し富を築いたアレッサンドロ・ダラック”Alexandre Darracq”が1896年にダラック自動車会社を設立し、工場はパリ郊外に建設しました。1900年まで電気モーターが動力の車を製造しており、現在のハイブリッド車やEV車の先駆けとも言える車でした。また、ダラックは自動車レースにも積極的に参戦しています。1902年にはアダムオペルと生産契約し、オペルダラックを設立します。ダラックは1903年まで木製シャシーの車両を製造・販売していましたが、1904年に初めての金属シャシーFlying Fifteenを世に出すと、1904年のフランス自動車市場で10%を占める人気車となりました。その後イギリスのタルボを買収し、サンビームと合併してサンビーム・タルボ・ダラック自動車Sunbeam-Talbot-Darracq (‘STD Motors’となります。フランスではタルボ、イギリスではダラック(タルボダラック)という社名で販売されました。展示車両はおおよそ1924年式だと思われますが、正確な年式は不明です』
ダラックの中古車をお探しの方へ
上述の通り、ダラックの中古車が日本に出ることはほぼないと思われます。
海外のオープンな中古車市場を見ると、2017年4月時点で1台が売りに出されていました。1903年式の”8hp REAR ENTERANCE TONNEAU”で、10万ポンド、つまり1億5千万円ほどの値が付けられています。