はじめに
1911年式のルノー35CVです。私は他の博物館でこのルノー35CVを見たことがなかったのですが、ツカハラミュージアムの方にうかがってみると、日本にあるのはこの1台のみとのことでした。
お洒落な象の鼻ボンネット
1号館で同年代の車両と並んでいると、やはり「象の鼻」あるいは「ルノー型」とも呼ばれるボンネットのなだらかな傾斜が際立ちます。100年後の私が見て特徴的に思えるくらいですから、まだガソリン自動車が誕生したばかりだった当時はもっと明確に違いとして感じられたことでしょう。
この4気筒35CVは1908年に6気筒の50CVが登場するまで、ルノーのフラッグシップモデルとなっていました。8CV、10CV、14CV、20CV、そして35CVというラインナップです。そこへ50CVが登場し、6気筒はすぐに40CVへと代わったのですが、この展示車両が作られた1911年当時は、8CV、10CV、14CV、20CV、35CV、そして40CVが併売されていました。1911年当時で小型車から大型車までフルラインナップしていたのはとても珍しいメーカーと言えます。
博物館による車両説明
ツカハラミュージアムによるルノー35CVの説明はおおよそ次の通りとなっています。
『パリジェンヌたちは皆その「象の鼻」に振り向いたであろう、ルノー35CVです。自動車史の初期にあって、その後の近代的自動車の発達に大きな貢献をしたのがルノー兄弟でした。1899年にルノー兄弟社が発足し、自ら製作した車でパリレースに出場、好成績を収めます。この頃、トレードマークとして30年も続くことになる「石炭シャベル」型のボンネット(象の鼻)を考案し、他社もまねてルノー社のコピーが製作されるほどとなりました。1913年にはフランスの自動車生産量(5万台)の5分の1を占めるまでになっています』
ちなみに、このルノー35CVについてはARアプリを起動させて立て看板の写真にかざせば、解説動画を楽しむこともできます。
ルノー35CVの中古車をお探しの方へ
上述の通り、ルノー35CVは日本に1台しかないほど珍しい車両ですので、一般的な中古車サイトに顔を出すことはまず考えられません。
といって、海外でもオープンな売り物が見つけられなかったので、クローズドなアプローチを試みるしかないと思われます。