はじめに
MGのMタイプ・ミゼットです。このMタイプがデビューするまで、MGは14/28や14/40など、大きなサルーンが主力商品でした。しかし、景気の低迷を受けてサルーンの売上げは落ち込み、小型車の開発に迫られて登場したのがこのMタイプとなります。1928年のロンドンモーターショーでお披露目され、このMタイプが会社の危機を救ったとも言われています。
最初の「ミゼット」
このMタイプがMG車の中で最初に”Midget”、つまり「ミゼット(ミジェット)」を名乗りました。「とても小さなもの」を意味するミゼットを名乗るだけあって、たとえばサルーンの14/40で380cm(3810mm)あった全長は、このMタイプでは316cm(3162mm)へと小さくなりました。
景気が悪くて売れなかったという当時の大型車14/40の全長が今のトヨタ・アクア(3995mm)より短いことには時代を感じますが、MG車における「ミゼット」はただ小さいモデルを意味するだけでなく、小さなスポーツカーであることを意味します。
そして、1930年にはマイナーチェンジが施され、ドアがフロントヒンジとなりました。このジーライオン・ミュージアムのMタイプはフロントヒンジなので、マイナーチェンジ後のモデルとなります。
フロントグリルには”J.C.C”や”JUNIOR CAR CLUB”のバッジがありますが、このJ.C.Cは1912年に設立され(当時の名称は”Cyclecar Club”)、 200マイルレースなど主にレース大会を運営していた組織です。展示車両もレースに興じていた1台なのかもしれません。
フロントヒンジとは、ドアヒンジがドアの前方にあってドアは後方が開くという、現在では当たり前の構造です。しかし、マイナーチェンジ前のMタイプでは、リアヒンジでドアは前方が開く構造でした。これは馬車時代の名残りでもあるので、この頃から各メーカーの車両から馬なし馬車(ホースレスキャリッジ)の面影が本格的に消えてきたと言えるかもしれません。
MG Mタイプ・ミゼットの中古車をお探しの方へ
ジーライオン・ミュージアムでは展示車両がそのまま販売対象になっていることが珍しくありません。どの車両が販売に回されるかは流動的に思われますので、このMタイプをはじめ何かご興味の車両がありましたら、スタッフの方に一度お声がけされてはいかがでしょうか。