はじめに
フォードのモデルTTです。私がこれまで足を運んだ自動車博物館で、TT型フォードが展示されていたのはこのジーラインミュージアムだけでした。
TT型はT型をベースに作られたトラックとなります。通常のT型フォードと比べてホイールベースは25インチ拡大され、ホイールもリム幅が拡大され且つショートスポーク化されているので、ジーライオン・ミュージアムに展示中の通常のT型フォードと比較してみてください。
日本の戦後復興とも縁あり
このTT型フォードは日本と馴染みが深く、関東大震災で壊滅的な被害を受けた東京で活躍することになりました。関東大震災によって市電は復旧の見込みが立たず、人々は移動手段がなく困り果てていました。
そこで、東京市はTT型フォードのシャシーを緊急輸入し、このシャシーに国内生産した11人乗りのバスボディを架装して、公共交通機関に採用しました。これがいわゆる「円太郎バス」であり、都営バスの起源となります。
博物館による車両説明
ジーライオン・ミュージアムではTT型フォードの脇にタブレット端末が設置されており、TT型フォードの走行映像や音声、当時の世評を楽しめるようになっています。ジーライオンミュージアムによる車両解説は次の通りとなります。
『空前の大ヒット作となってアメリカ中の道路を埋め尽くし、瞬く間に「車輪の上の社会」に生まれ変わらせてしまったT型フォードだけに、貨物車仕様も開発された。それがTT型。
基本的にはT型の設計を丸ごと受け継いでいたが、簡素なフレームを強化したうえでホイールベースを延長し、ギアレシオやリヤサスペンションを大きな荷重に合わせるための変更が施された。
4気筒2896ccのエンジンはT型と同じ20馬力のままだったから走行性能は低かったが、抜群の粘りと耐久性を発揮して、全米の物流を支える存在となった。T型と同じくTT型もアメリカ国外でも生産されたが、もっとも活躍が際立った舞台は日本だった。
大正12年(1923年)の関東大震災によって首都圏が壊滅し、公共交通機関も大打撃を受けた中で、辛うじて大きな被害を免れた日本フォード(横浜)はTT型の生産に全力を注いだ。
トラックのシャシーに木骨だけの簡単な車体を架装したTT型のバスが、一面焼け野原と化した東京を力強く駆けまわって復興の背中を押したのだった』
フォードモデルTT(TT型フォード)の中古車をお探しの方へ
フォードのモデルTはグーネットやカーセンサーでもよく見かけますが、TT型となると記憶がありません。しかし、このジーライオンミュージアムは所蔵車両と販売車量の垣根がよくわからないくらいに、博物館級の車両を大量に販売しています。もしTT型がお目当てであれば、ジーライオンミュージアムに直接うかがうのも一手かもしれません。